地域経済の発展を願い、圧制と闘う経営者からのメッセージ。
岩崎産業株式会社をはじめとするいわさきグループのCEO岩崎芳太郎が初出版!
著者(岩崎芳太郎)からのメッセージ
小泉・竹中構造改革という名の亡国的失政により、多くの地方の企業家が金融機関に潰されていく中で、いわさきグループはなんとか何回かの危機をギリギリのところで凌いで今日まで生き残る事ができました。
実際、長信銀不要論が喧伝され、長信銀三行が次々に破綻・消滅していった時、日本型他人資本主義の破壊を米国エスタブリッシュメントは狙い、仕掛けてきているのではないかとの予感と不安はここまでドンピシャリに当るとは思いませんでした。
しかも、ここまで完璧に彼らの思惑通りになってしまうと、アングロサクソンとユダヤのリーダ達の戦略的思考力やインテリジェンスパワーが日本人のリーダー達のそれより遥かに優れている事が、再び実証されたという妙に冷めた諦観を持つとともに、多くの知識人とマスコミ人と官僚と一群の政治家が再三再四、いとも簡単に彼らの期待通りの役割を演じ、真の国益を省みずに米国のエスタブリッシュメントの手先として動くことに対して、日本人の一人として、怒りとなさけなさを禁じ得ませんでした。
一方、5,000人以上の社員を抱える企業の経営者としては、日々プラグマティストとして、時価会計やBIS基準や金融検査マニュアルや税効果会計や規制緩和や民営化などの名のもとで起こる全ての外部環境の変化を現実のものとして受け入れて、経営していかねば会社は潰れてしまいます。
「世界がどうだ」、「日本がどうだ」、「地球がどうだ」、「社会がどうだ」そんな事に係わるゆとりを持てるべくもなく、ひたすら「負ければ賊軍」と己を鼓舞し、「個」の経営に徹せざるを得ませんでした。
然るに皮肉なもので、具体的な「個」の経営の局面局面で、経営者としての責任感を強く自覚すればする程、逆に、所与のものである外部環境を改善するために、能動的にアクションする事も今の経営者は経営の一環とすべきなのではないかと感じるようになって、数年が経ちます。
また、その思いはこの国の状況が日増しに悪化していくのを目の当りにし、より強いものになっていきました。
そして、もうひとつ、それ以上に強く感じるようになった事は「他の誰かが、いずれ何かをやってくれるのでは」という期待は持つ事はできないという失望感と焦燥感でした。
2008年も年次改革要望書において、米国政府はアメリカ流金融資本主義に都合のよい構造にこの国のシステムを変えるべく「構造改革」「規制緩和」を日本政府へ要求してきています。
「レッセ・フェール」「グローバル・スタンダード」「市場原理主義」「新自由主義」なんと呼ぼうが、こちらの論理に正当性が与えられ、その支援派が日本においてもマジョリティーである限り、この国の経営環境は、日本の地方の資本家や企業家にとって、公正な競争ができるものになるとは思いません。
「個」の経営努力では限界を感じる日々が続いています。
「負ければ賊軍」。
敗者となってから、ルールの不公正にクレームしても後の祭りです。
『シュンペーターの期待する創造的破壊の役割を担うため、企業家「いわさき」は負けるわけには行きません。日本型資本主義が破滅しないためにも』そういう思いの中で出版した拙著であります。
御一読賜り、御感想・御批判をどしどし頂ければ幸甚に存じます。